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第18話 婚姻届の名は朝霧栞②

Penulis: 花柳響
last update Tanggal publikasi: 2026-06-20 06:01:54
「私は、そうしたいです」

 そう言った時、静江さんの指が、ほんの少し動いた。

 心電図の小さな音が、一拍分だけ長く聞こえた。

 反射だったのかもしれない。私の声に反応したわけではないのかもしれない。

 それでも私は、その指を両手で包んだ。

「私、如月には戻りません」

 言い切ると、口の中が熱くなった。

「でも、静江さんのことは置いていきません」

 昨日までなら、この二つは同じ方向を向いていないように思えた。

 如月家を捨てるなら、静江さんまで捨てることになる。そんなふうに、どこかで思い込まされていた。

 違う。

 家と、人は同じではない。

 私は、静江さんの手をもう一度だけ握り、病室を出た。

 廊下へ戻ると、律はさっきと同じ場所で待っていた。相良さんは少し離れて、病院職員と何かを確認している。

「会えましたか」

「眠ってました」

「そうですか」

 律はそれ以上聞かなかった。

 何も聞かれないことが、今はありがたかった。

 病院の家族待合室へ向かうと、先に隆一がいた。

 待合室には、自動販売機の低い振動音があった。

 病室の静けさとは違う、生活の
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